
こんにちは
どうなさいましたか?

嗅覚障害にお悩みの方から
質問をいただきましたよ。
コロナウイルス感染後の嗅覚障害は、多くの方が悩まれる後遺症の一つです。匂いが感じられないことで日常生活の質が低下し、精神的なストレスも感じやすくなります。
東洋医学では、このような症状も「気・血・水」のバランスから解読することが可能です。今回は、コロナ後の嗅覚障害に悩む48歳女性の方の体質分析と、東洋医学的アプローチでの改善方法をご紹介します。
外見的な特徴とお悩みの症状
- 年齢:48歳・女性
- 身長:158cm
- 体重:59kg
- BMI:23.63
- 顔色:黒ずみがち
- 舌の状態:裏の静脈が細いがよく見える、歯の痕がある、苔の上の水分が水っぽい
- 髪の毛:乾燥気味
- 主訴:コロナ感染後1年半、嗅覚が戻ったり消失したりを繰り返している
コロナ感染でなぜ嗅覚障害が起きるのですか?
コロナに限らず、ウイルスには細胞の奥深くに直接侵入しようとする性質があります。東洋医学的に見ると、これは体の深部である「腎気(じんき)」に侵入する性質があると考えられます。
体は侵入したウイルスと戦うために腎気のパワーをフル活動させるので、疲労してしまいます。もともと腎気のバランスが良くなかった方は、その働きが簡単に乱れてしまうのです。
匂いの物質は鼻の中の粘膜に溶け込み、嗅細胞が刺激を受けることで匂いを感じています。ウイルス感染後は、この嗅細胞が大きなダメージを受けるため、匂いを感じられなくなってしまうのです。
嗅細胞のダメージは回復しないのですか?
嗅細胞は常に変生と新生を繰り返しています。しかし、ウイルス感染によって腎気がダメージを受けると、細胞の入れ替わりにも大きく関与している腎気の働きが乱れ、新生させるための機能が低下してしまうことがあります。
特に、腎気の機能を邪魔する要因となる以下のような状態があると、回復が遅れがちです:
- 余分な水分の停滞
- 気の滞り
- 潤いの不足
- 血液の巡りの悪さ
- 体の冷え
これらの要因が体質的にある場合、腎気の機能が順調に回復せず、嗅細胞の新生にも影響を与えてしまうのです。
この方の体質はどのような特徴がありますか?
この方の体質を東洋医学的に分析すると、いくつかの特徴が見られます。
まず、顔色の黒ずみ、舌裏の静脈の状態などから、腎気の働きを支える「血(けつ)」の巡りがあまり良くないことがわかります。
その原因として、手足の冷えや舌に歯型がつくことから、体を動かす気の不足が考えられます。
また、足首や手指、顔の浮腫み、水っぽい舌苔など、体のあちこちに余分な水分が停滞している一方で、髪の乾燥や目の乾きといった上半身の乾燥症状も見られます。
つまり、水を巡らせる力の不足があって浮腫みが生じ、それが血流の悪化を招き、結果として腎気の乱れが継続し、嗅細胞の回復が進まないという悪循環になっていると考えられるのです。
ではこの方に、おススメの自然療法を教えて下さい
この方の体質改善には、まず水分バランスの調整が重要です。喉が渇いて水を飲みたくなるとのことですが、体内にはすでに余分な水分が停滞しています。これが体の熱源に負担をかけ、血流の悪化と腎気の乱れを引き起こしている可能性があります。
火力の弱いお風呂にさらに水を足すようなものなので、喉の渇きを感じても一度にたくさん飲まず、少しずつ飲むようにしましょう。
また、腎気を鍛え、体の熱を高めるためには、適度な運動が効果的です。特におすすめなのが「相撲の四股(しこ)」です。
四股は腎と関係の深い下半身を柔らかく鍛えられる運動で、ご自身のペースで行えばケガをしにくい方法です。コツとしては、足を上げた際に丹田(たんでん)から骨盤底筋にかけての部位でバランスを取るように心がけるとよいでしょう。無理せず少しずつ試してみてください。
腎気を改善するのに効果が期待できる漢方薬
この記事でご紹介した方のような水滞留型の腎気虚弱の改善に効果が期待できる漢方薬をいくつかご紹介します。ただし、これはあくまで一般的な情報であり、個人の症状に合わせた処方ではありません。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎陽虚(じんようきょ)に対応し、腎の温める力を補う基本的な漢方薬です。
- 真武湯(しんぶとう):水毒(すいどく)を伴う腎陽虚に用いられ、余分な水分の排出を促します。
- 五苓散(ごれいさん):水分代謝を改善し、むくみの解消に効果が期待できます。
症状が複雑な場合には、単独の漢方薬では効果が十分に得られないこともあります。当店では専門の漢方相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
コロナ後の嗅覚障害は、東洋医学的には腎気の乱れと水分バランスの崩れが影響していると考えられます。改善のためには:
- 水分摂取を少量ずつにコントロールする
- 相撲の四股など、腎気を鍛える適度な運動を取り入れる
- 必要に応じて漢方薬による体質改善を検討する
これらのアプローチを続けることで、嗅細胞の新生を助け、嗅覚の回復を促進することが期待できます。症状の改善には時間がかかることもありますが、日々の小さな積み重ねが大きな変化につながります。
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