私たちの身近にある植物には、古来より健康に役立つ様々な効能が知られています。その中でも「桑の葉」は、東洋医学において重要な生薬として古くから用いられてきました。カイコの唯一の食料としても知られるこの葉には、実は驚くべき薬効が隠されています。
今回は、そんな桑の葉(桑葉/そうよう)の魅力と効能について、Q&A形式でわかりやすくご紹介します。日常的に活用できる知恵として、ぜひ参考にしてみてください。
桑の葉(桑葉)とは何ですか?
桑の葉は、生薬名を「桑葉(そうよう)」といい、クワ科の落葉高木であるマグワの葉を乾燥させたものです。東洋医学では重要な生薬として用いられています。
性味/帰経
- 性質:寒
- 味:苦、甘
- 帰経:肺、肝
興味深いことに、シルク生産に欠かせないカイコは桑の葉しか食べないといわれています。桑の葉から分泌される乳液には、害虫の成長を妨げる成分が含まれており、これにより桑は自らを守っているのです。この特性が、人間の健康にも有益な働きをもたらしています。
桑の葉にはどのような薬効がありますか?
桑の葉には主に以下のような薬効があります:
1. 疏風清熱(そふうせいねつ)
- 余分な熱を体の表面から発散させる作用
- 外感風熱による発熱、軽い咳、頭痛、喉の痛みを緩和
2. 清肝明目(せいかんめいもく)
- 風熱や肝火上炎(かんかじょうえん)による目の充血や涙
- 肝陰不足による目のかすみや痒みを改善
3. 清肺潤燥(せいはいじゅんそう)
- 肺の熱による咳、空咳、黄色い痰、粘り気のある痰を緩和
- 乾いた咳に潤いを与える
その他にも、以下のような薬理作用が研究で確認されています:
- 解熱作用
- 祛痰(きょたん)・鎮咳作用
- 抗菌作用
桑の葉はどのような症状に効果的ですか?
桑の葉は以下のような症状に効果的に用いられます:
風邪や熱の症状
- 風邪などの熱や咳に薄荷(はっか)を加えて飲むと効果的
- 目の充血には菊花を組み合わせるとより効果的
目の症状
- 風熱や肝火による目の充血、腫れ、痛み
- 視力低下や目のかすみ(肝腎不足によるもの)
頭部の症状
- 頭痛やめまい、頭がくらむ症状(特に肝陽上亢によるもの)
- 偏頭痛(牡丹皮・丹参と配合すると効果的)
糖尿病関連
- 糖質吸収抑制作用があり、糖尿病の予防・改善に役立つ可能性
その他
- 軽度の凉血止血作用があり、血熱による吐血にも補助的に使用
桑の葉を使用する際の注意点は何ですか?
桑の葉を使用する際には、以下の点に注意しましょう:
- 虚寒証(きょかんしょう)の方は量を控えめに:体が冷えやすい体質の方は、桑の葉の「寒」の性質により症状が悪化する可能性があります。
- 適切な配合を意識する:症状に合わせて他の生薬と組み合わせることで、効果を高めることができます。例えば:
- 風邪の症状には薄荷や菊花などと組み合わせる
- 乾燥による咳には枇杷の葉などと組み合わせる
- 目の症状には菊花、決明子などと組み合わせる
- 肝腎不足による目のかすみには黒ゴマ、枸杞の実などと組み合わせる
桑の葉以外の桑の部位も薬になるのですか?
はい、桑は「全草薬用」と言われるほど、全体が薬として使われます:
- 実:桑椹(そうじん)として使用
- 根の皮:桑白皮(そうはくひ)として使用
- 枝:薬用だけでなく、器や箸としても
民間では、桑の木で作った器や箸を使うと長生きするとも言われています。これは、桑の全体に健康に良い成分が含まれていることを示す言い伝えかもしれませんね。
まとめ:桑の葉の魅力と効能
桑の葉は、東洋医学において重要な生薬として長い歴史を持っています。その主な特徴をまとめると:
- 体の余分な熱を取り除く「疏風清熱」作用があり、風邪や熱の症状に効果的
- 目の症状を改善する「清肝明目」作用があり、充血や視力低下に役立つ
- 肺に潤いを与え咳を鎮める「清肺潤燥」作用があり、乾いた咳に効果的
- 抗菌作用や糖質吸収抑制作用など、現代医学的にも注目される効果がある
桑の葉を上手に活用することで、日常の健康維持にお役立てください。ただし、体質や症状に合わせた使用が大切です。不安な点があれば、必ず専門家に相談することをおすすめします。
東洋医学の知恵は、現代においても私たちの健康に大きな恵みをもたらしてくれるものです。ぜひ、桑の葉の素晴らしさを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献

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