夜に痛みが増す方のお悩み

一日の時間の中での体の変化

夜になると痛みが出る、熱っぽくなる、そのため眠れないなどの悩みを聞くことがあります。夜は昼間の活動で消費した体を修復する大切な時間です。眠れなければ修復や補充がされなくなり、その症状が中々改善しない悪循環になってしまいます。

現代医学ではあまり一日の時間による体の状態の変化を重要視はしませんが、東洋医学では人間は自然の一部であるとの考えから、一日の中での体の変化には意味があると考えています。つまり同じ症状が朝起こるのと夜起こるのとでは原因が違っていると考えています。もちろん原因が違うので当然治療法や養生法も変わってきます。

夜は陰の時間帯

東洋医学では夜間は陰が主役となる時間帯と考えています。その主役になるべき夜間に、体の中で陰が陽に対して足りなくなっていると、相対的に陽が過剰になってしまいます。その過剰になった陽は体にとってきちんと働いてくれる陽ではありませんが、陽の性質としての熱によって周辺を煮詰めたり、乾燥させたりしてしまい巡りを悪くさせます。

ちょうど日照り続きで川が干上がってしまい、流れが悪くなったような状態をイメージしていただくと良いかもしれません。

ここで陰と陽を簡単に説明いたしますと、活動や熱を陽であるとすると、それを同じ根っことして支えているもう一つの軸として陰は鎮静や潤いと言うことになります。

活動や熱を支えるのに鎮静や潤いが必要か?と思われるかもしれませんが、活動や熱が行き過ぎてしまうと、地球上にあるものはほとんど自身をも破壊してしまうことになるので、それを丁度よい程度に制御する必要があります。つまり上手に制御することによって、それら活動や熱は自然界においても人体においても有用に使うことができるようになります。

人体の中において、日照りで干上がってしまい流れが悪くなった川のようになってしまうと、体にはこもった様な熱症状もでてきますし、もちろん流れが悪くなっているので痛みにもなります。この場合は体の潤いを増やすようにすることが治療の中心になります。原因としては過労や睡眠不足が中心になっていることが多いようです。

全てが乾いているとは限らない

ただし昨今の天候不順のように、ある場所では日照りだが、ある場所では豪雨ということがあるように、一箇所が乾燥しているからと言っても体全体が乾燥しているとは限りません。それどころか他の場所が豪雨であるから、こちらへは雨が降らずに乾燥してしまっているように、局所では乾燥しているが体全体としてみると水浸しであることも多くあります。

また陰が主役の時間帯ですから、豪雨による水浸しのように陰があふれてしまい、陰が陽に対して過剰になってしまうことが原因で様々な症状が起こることもあります。ですがこの場合は陽の機能低下によって、活動不足になっていることの方が原因として大きいことが多いようです。

この場合には陰の不足の時に感じた熱症状を感じるよりも、冷え、重だるさ、むくみ、コワバリなど、陰が過剰になることによって生じる症状を感じることが多くなります。もちろんその中で先ほどの熱症状を感じることもあるかも知れませんが、それは陰の過剰によって起こる巡りの悪さが原因かもしれません。

そして陰が過剰になったことによる巡りの悪さが起こると、当然痛みが出てくることになります。この場合は過剰な陰を減らすことが治療の中心になります。原因の中心となるのは、口渇感を無視した水分の摂り過ぎや、空腹感を無視した食べ物の摂取で、これらが長く続くと体の中で余分な陰邪を作り出しますので巡りの悪化を生じさせます。

陰の過不足を解消するには

気持ちの悪い熱症状を伴う夜の痛みが、過労や睡眠不足が原因の陰の不足から来ていると言われても、眠れないんだからしかたがないと言われることがあります。仕事に関連した過労に関しては、こちらとしてもどうしようもありませんが、その場合でもせめて良好な睡眠だけでも確保して欲しいと思います。

以前にも書きましたが、睡眠前の簡単な呼吸法や瞑想、また睡眠前に限らずちょっとの時間をみつけてはこれらを習慣づけると、頭に上がってしまった気が降りてきやすくなりますので、睡眠にスムーズに入りやすくなると思います。

さらに薬膳茶として竜眼肉、小麦、なつめ、甘草、酸棗仁、山梔子・・・などのハープからいくつかをお好みで選び、いつものお茶に入れて、あるいはいつものお茶の変わりに飲まれると心が穏やかになるかもしれません。お好みで選びと書いたのは、味覚が正常であれば体に必要な食材であれば美味しく感じるからです。

ただし何らかの原因で味覚がおかしくなっているのにその事に気付いていないと、体にあっていないハープを選んでしまうことに陥りやすくなります。また体に良いからと飲みすぎても陰邪が過剰になってしまう原因にもなるので駄目です。もちろん完全に不眠としての症状が出ている場合はきちんと体質を見極めて、その体質に合った漢方薬を飲む必要があります。

さて陰邪が多いことで症状が起きているような場合には、陰を減らすことが必要になりますから、食べ過ぎない、飲みすぎないことが大切です。テレビなどでこれを飲めば痩せる、痛みが軽くなる、などの宣伝をよく見ますが、私の聞く限りでは痩せたとか良くなったとか耳にした事はありません。

やはり魔法のような方法はありませんので、食べ過ぎないや飲み過ぎないことを中心に、軽めの運動をして体の循環をよくすることが陰邪を減らす一番の近道であると、何度かのダイエット経験がある私も思います。

正しい姿勢と呼吸法で巡りを促す

どうしても運動が苦手な方や行うことが難しい方は、タントウ功や座った状態での呼吸法なども正しい姿勢で行うと、汗がボタボタと滴り落ちるくらいにでてきますので結構な運動になると思います。中性脂肪などは酸素がある状態で燃焼しますので、その意味からも呼吸法などは最適かもしれません。これらは激しい運動の後などに見られる喉の渇きや、強烈な空腹感も生じにくいので運動後の一杯などにもつながりにくいですからもってこいです。

ですが運動に関係なく喉の渇きが強い場合や、空腹感が強すぎる場合は、喉の周辺や胃に熱が滞っている場合がありますので、その場合にはその原因となっている体質の偏りを探って、やはり漢方薬で対処する必要があります。

少しだけですが夜間に痛みが出ることに関して書いてみました。どちらが自分に当てはまるのか分からない場合には、専門家に体質を調べてもらう必要がありますが、呼吸法や運動、薬膳茶などを行っていくうちに症状が軽くなってくることも多いと思います。