小周天と病気治療

気と小周天と瞑想

小周天と病態

 

病気になった方が健康を回復させるために小周天を行っていく上で、どうしても陥りがちなのは体質の傾きによる体調の変動です。

 

もちろん病気を患っておられるために様々な症状があるのはもちろんですが、さらに小周天を行うことで五臓の働きを高め、気血の巡りを良好にしていくことにより、体調の傾きによる症状が変化していくことがあるからです。

 

好転反応のように一時的に悪い物を出す反応だけではなく、ある臓は小周天によって働きが回復したが他の臓においては、まだ回復が追いつかないために、あるいはある部位においては気血の巡りが回復しきっていないために、症状が目立つようになることもあるからです。

 

健康な方が小周天をされる場合においては、例え偏差と呼ばれる様々な心身の反応が出たとしても、しばらく練習を休むことで、体調の傾き自体が少ないので好ましくない反応は少しずつ元に戻ってきます。

 

しかし病気を患っている方は体調の傾きがそもそも大きいので、休んだとしても体調の傾きが戻るのに、かなりの時間がかかってしまうことになります。

 

それを少しでも回避するために、漢方薬、食事療法、ストレッチなどの体操、生活習慣の改善など様々な方法を使っていくのですが、どのような方法がどのような病態に対して有効なのかを全てを説明するのは無理ですが簡単にご紹介したいと思います。

 

小周天と身体の歪み

 

まずはストレッチからご説明いたします。

 

小周天を練習するに従って気血が経絡に満ちてくるのですが、筋肉のコリや骨格の歪みがあると気の流れがそこで邪魔をされて、気がそこで滞ってしまうと、身体にとって利用することの出来ない、意識によるコントロールの効かない邪気になります。

 

気はエネルギーですので、同じ場所に滞ることで余分な熱を生じ、今度は邪熱として、やはり身体の役に立たない熱としての性質を勝手に発揮しだして体の上部に向かいます。

 

その邪熱が頭において溜まってしまうと、目眩、不眠、頭痛、肩こり、いらいらしやすい、顔がのぼせる、などの症状を起こすことがあります。

 

例えるならば、電気のコードを丸めたままコンセントに入れて使用しているような状態ですから、曲がった部分では気の流れの滞りが起きて邪熱になりやすくなります。

 

それを回避するためにはストレッチなどの体操によって、コリや骨格の歪みを矯正する必要があります。

 

ですから身体が硬い自覚のある方は股関節をはじめ、よく緩める必要があります。

 

また身体はそれ程硬くないが歪んでいる方は生活習慣に原因があるかもしれません。どちらのタイプの方にしても、歪みが大きい場合や、中々戻らない場合は脊椎矯正の専門家に整えてもらい、原因を突き止めて生活習慣を改善していく必要があります。

 

私自身の経験では、多くの歪みの原因は元大阪大学医学部教授であった丸山博先生や、西式医学の甲田光雄先生が仰っていられる様に、食事にあることが多いように感じます。

 

小周天と食事療法

 

食事に関する事が出てきましたので、そのまま食事について説明いたします。

 

食事についてはそれこそ色々な考えがあるのですが、一番重要なことは極端に偏らないことだと思います。

 

肉が多く脂でギトギトしたものが中心で、野菜が少なくコーラなどの甘い飲み物が大好きですというと、どなたにでも偏っているとご理解いただけると思います。

 

しかし野菜中心で玄米を主食にしていますという方でも、摂取する野菜が性質的に体を冷やすものが中心であると、身体の体質は傾いてきます。

 

また消化吸収の機能の弱い方が、無理して健康のために玄米などの消化に負担のかかる飲食物を食べ続けていると、脾胃(胃腸)に多大な負担をかけるので、やはり体調は傾きを強くしていきます。

 

それと今は食べ物の質の話しをしましたが、食べる量も非常に重要です。

 

空腹感は食べ物が必要になりました、食べ物を受け入れる準備も整いました、という身体からのサインなのですが、健康になるために空腹感が無いが無理して食べている。あるいは健康にいいからと言われて食事の他に余分に食べている、などの話を良く耳にします。

 

身体の空腹感のサインが無い状態で、食事により飲食物を体内に入れることは、ガソリン満タンの車に無理やりガソリンを入れることと同じですので、身体にとって余分な物を背負い込むことになり、それが経絡などの流れを邪魔することで様々な症状につながることにもなります。

 

小周天と水分摂取

 

また皆さん無頓着なのが水の摂取です。

 

これは食事以上に良くみられるのですが、喉が渇いていなくても飲む、健康のために無理して飲んでいるなどの方が多くいらっしゃいます。驚いてしまうのが、足が浮腫んでいるので、それを解消するために水分を沢山取るようにしている、なんて方もいらっしゃいます。

 

いまだに夏近くには熱中症のために水を沢山飲みましょうなどとマスコミで騒ぎますが、熱中症は水の摂取の問題だけではなく、寝不足や過労など他の原因もあるのですがその辺はあまり表には出てきません。

 

例えば身体は気温の変化に対して身体内部を守るために、大量の汗を使って熱を放散するのですが、水を大量に飲むことで脾胃に負担をかけ機能が低下してしまい、体にとって必要なエネルギーを上手く作ることが出来なくなってしまいます。

 

そのエネルギー不足に陥った状態のときに、寝不足や過労、眼の使いすぎなどでさらにエネルギーが不足してしまうと、身体のエネルギーを使って汗を運んだり放出したりができなくってしまい、体の中の熱を調節できなくなり熱中症になりやすくなってしまいます。

 

また先ほどの食事と同じく、必要以上に水分を摂取することは、余分な荷物を身体に背負うことになるので、やはり気血の巡りを邪魔することにもつながります。

 

小周天では気血の巡りを順調にさせようとするわけですから、食事も水分も余分に取りすぎて流れの邪魔になることは、それだけで小周天の上達による気血の巡りを妨げることになります。

 

小周天と生活習慣

 

生活習慣に関しては寝不足、過労、運動不足、眼の使いすぎなどが良くみられます。

 

これらは仕事に関連することでもあるので、何ともアドバイスがしにくい事なのですが、寝不足や過労ではエネルギーの過剰な消費になりエネルギー不足になります。

 

また寝不足ではエネルギーの回復の機会も奪われてしまいます。小周天では気血を巡らせるわけですが、その気血が不足してしまうと、いつまでたっても巡らせるものが足りない状態になってしまいます。

 

眼の使いすぎに関しても、中医学では目は血を受けて良くみると言うとおり、眼を使うことで血を消耗しますので、眼の使いすぎは、やはり巡らせるものが足りない状態になります。

 

また眼に血を供給するために気が集中しますので、上方に気が集中し邪熱を生じやすく、先ほども書いた上方においての熱の症状、目眩、不眠、頭痛、肩こり、いらいらしやすい、顔がのぼせる、などの症状や、眼に関しても眼の裏の痛みや眼の乾きなども起きやすくなります。

 

小周天と漢方薬

 

そして漢方薬についてですが、これはその方その方の体質の傾きに応じた薬を飲むことに尽きます。

 

例えば冷えているなら、八味丸牛車腎気丸至宝三鞭丸などの温陽薬を、体の潤いが足りないなら、六味丸知柏地黄丸杞菊地黄丸などの補陰薬を、血が足りないなら血を補う、四物湯十全大補湯人参養栄湯などの補血薬などになります。

 

特に小周天では腎気を補うことが、気の鍛錬の応援につながりますので、腎気の補充は重要です。

 

さらに、気が滞っているなら気を巡らせる、香蘇散抑肝散加陳皮半夏柴胡疏肝湯などの理気薬を、先ほどの食べ過ぎや水分の取りすぎで、身体に湿邪、痰飲、痰濁などと呼ばれる病理産物が存在する場合は、茵蔯五苓散半夏厚朴湯などの祛湿薬や化痰薬などで排除していきます。

 

ただし単純に漢方薬を飲めば良いわけではありません。

 

例えば先ほど血が足りないから補血薬と書きましたが、その血の足りない原因が何からきているのかを深く探っていく必要があります。足りない原因が単に材料不足ならば材料を提供すれば後は身体がやってくれます。

 

しかし脾胃の機能低下によって、材料を摂取しても消化吸収合成がきちんと働かず、材料があっても血を合成できない場合には、消化吸収合成の機能を高める必要があります。

 

この場合血が不足するからと言って、四物湯など、血の材料になる物ばかりを摂取すると、脾胃には過剰な負担になり、かえって体調の傾きを増長することになりますので、人参湯補中益気湯などで、お腹の働きをパワーアップして、血液づくりの応援をする必要があります。

 

また消化吸収は問題ないが、その後の体内においての材料の運搬の問題。あるいは吸収した後の生成機能の低下が部分的な原因なのか、それとも大元の熱源が足りないことによる全体の機能低下なのかを、様々な方向から調べる必要があります。

 

ですから効能書きに自分にぴったりの症状が書いてあるからといって漢方薬を飲み続けていても、たまたま体調に合っていれば良いのですが、仮に体調に合わない物を飲んでいると、いつまでたっても体調の傾きは改善されないことになりかねかせん。

 

それが原因で小周天の上達にも影響し、気血の巡りを妨げることにもなってしまいますので、結果的には飲まなかった方が却って良かった、ということにもなります。

 

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