小周天と中医学

気と小周天と瞑想

小周天のルート

 

中医学からみた小周天のルートを少し解説したいと思います。

 

小周天とは、へそ下の丹田において意識の集中と呼吸によって気を生じさせ、その気を背中とお腹に巡らせる技術であると書きました。

 

もう少しその辺を詳しく書いていくと、背中側のルートは督脈といって気血の通り道である経絡のひとつで、陽脈の海とも呼ばれています。またお腹側を通るルートは任脈といい、陰脈の海とも呼ばれています。

 

これら任脈と督脈は経絡のうちでも正規のルートとは別の流れなので奇経ともよばれ、正規のルートである正経を補佐し、その調節をするとも言われています。

 

任脈はその字を見ても解るように、女性の妊娠とも関係が深い経絡とされ、胞宮つまり子宮に、潤沢な気血を供給し、子供を成育させる働きを補佐するとも言われています。

 

ちなみに任の字から亻(にんべん)を取ると壬(みずのえ)となり、大きな海や川の意味となります。言葉の通り人間において、流域に豊かな実りをもたらす重要な経絡と言うことになります。また督脈には他のすべての陽経が集っています。

 

小周天では督脈は下から上へ気を流し、任脈では上から下へ流すのですが、通常の経絡の生理的なルートでは任脈・督脈共に下から上へ気血が通っているので、任脈においては通常のルートとは逆行させることになります。

 

陽経と陰経

 

さらに本来陽経は気血を上から下へ、陰経は気血を下から上へと巡らせるといわれています。

 

これは人体の生理機能において食べた物を吸収したあと、身体にとって利用可能な気血に変換するためには、身体上部の肺において清気(酸素)と結び付けるために上行させなくてはならないからです。

 

肺において清気と結びついて気血に生成された後は、その気血を身体全体に配るために陽経を通って降ろしてくることになります。

 

つまり小周天においてはどちらにしても生理的なルートを逆行することになりますので、却って体調に悪影響を与えそうに感じるかもしれません。

 

ですが私自身の経験では、そもそも小周天においては気を巡らせるという感覚ではなく、任脈・督脈あるいは衝脈といったルートに気を満たしていって、それらに圧力が高まってくると他の経絡のルートに溢れていく感じです。

 

ちょうど奇経が正経の補佐をしていると書いたように、それら奇経に気血が溢れてくると正経にも潤沢な気血が溢れてくるようになるので正経の調整をすることにつながります。

 

中医学の生理学

 

ここで簡単に中医学による人体の生理機能の説明をしておきたいと思います。

 

先ほども説明しましたが、人が気血を生じるためには口から飲食物を摂取することからはじまります。口腔内に入った飲食物が口の咀嚼によってある程度細かく分解され、さらに唾液などの分泌物と混ぜられて腐熟(消化)がすすめられます。

 

この時によく噛む事は非常に重要で、よく咀嚼することは胃においての消化の負担を減らすことと同時に、入ってきた飲食物を、これはどの様な種類の食べ物ですよ、身体のほうでしっかりと準備してくださいと、センサーのような働きをしているとも考えられています。

 

ですから良く噛む事だけで、様々な病気を治すとも言われています。

 

消化された飲食物は脾の運化(うんか)と呼ばれる機能によって吸収合成されます。現代医学的には胃で消化されたものが小腸に運ばれて吸収され、腸間膜静脈を通って門脈から肝臓に入り、肝臓で身体にとって必要な栄養素に変化させられる状態を指しています。

 

その後、合成された物質は脾の機能と肝の機能によって身体の上方に運ばれていき、肺において清気と結びついて気血となります。

 

ここまで吸収した物質を上方に運ぶのが陰経によってなされており、五臓では脾気が肝気の働きと共に、腎の陽気にバックアップされながら上方に運ばれていきます。

 

そして肺において清気と結びついた気血は、肺と肝の機能で陽経を通って全身に配られていきます。余った物は腎に集められ、不要になった物は膀胱から尿となって排泄されます。もちろん飲食物の消化吸収の時点でも不要なものは大便として排出されます。

 

このように様々な五臓の働きが協同作業をすることで人体の生理機能が成り立っていますので、五臓のうちのどこかの働きが上手く協調できなくなるだけで、正しい生理活動が崩れてしまうことになります。

 

現代医学と中医学

 

ちなみに五臓には肝・心・脾・肺・腎とありますが、現代医学で言う肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓とは多少近い部分もありますが、もっと大きく広い働きや概念を指していると考えられます。

 

例えば現代医学の肝臓などはその物質的な集合物を指し、その集合物つまり臓器がどの様な働きをしていると解説しています。

 

しかし中医学における五臓はその機能を指しているので、物質的な集合物を確定することは困難です。しかしその考えている働きや概念がわかってくると、どの部分を指しているのかがわかってきます。

 

例えば現代医学で言う肝臓は、中医学で言う脾の機能にとても近いと考えられています。現代医学の肝臓では栄養素を作り、エネルギーの貯蔵や分解に関与し、血液凝固因子などの生成を行い、解毒機能を有するとされています。

 

さて五臓の脾の働きはというと、やはり栄養素を作りエネルギーの貯蔵や分解に関与し、また血の統血(内出血を止めること)に関わるとされていますので、ほとんど五臓の脾と現代医学の肝臓は同じ機能をしていると考えられています。

 

つまり食べ過ぎや飲み過ぎで肝臓を痛めている方は、中医学では脾の機能が低下している状態と言うことになります。

 

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