小周天による偏差とヒステリー

気と小周天
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小周天と病気

 

前回、小周天では病気は治らない。それどころか体質を無視した方法で行うと却って悪化すると書きましたので、その辺のことについてもう少し詳しく書いていきたいと思います。

 

八綱弁証(はっこうべんしょう)

 

東洋医学には八綱弁証という病気の診断法があります。

 

八綱弁証とは表裏、寒熱、虚実、陰陽で身体の状態を診る方法で、表裏は身体の部位つまり場所、寒熱は病状のことで、身体の状態が結果としてどの様になっているかをみることで、虚実は寒熱がどうしておきたのか原因を探ることで、陰陽はそれらを大きくまとめた全体の考えを意味します。

 

要約すると八綱弁証とは、表裏寒熱虚実陰陽の八綱によって、体のどこが、どのような原因で、どのような状態に、体質が傾いているのかを診断する方法です。

 

例をあげますと、身体の表で寒が生じている原因が、虚から来ている状態を表寒虚といいます。

 

表寒虚をわかりやすく言うと、身体の表が冷えている原因が表のエネルギーの不足から生じていると言うことになり、つまり冷えた風邪のような症状になっていると考えられます。

 

この八綱弁証は身体の状態を診る手段の一つですが、言い換えれば身体の性質をみる方法ともいえます。表裏×寒熱×虚実×陰陽ですと2の4乗で16通りと言うことになります。

 

しかし当然のことですが、人の体質が16通りしかないと言っているわけではありません。ですが少なくとも色々な体質の方を全く同じ治療方法、つまり全く同じ食事療法や漢方治療などで治すことができるはずがないと言うことはお判りいただけると思います。

 

小周天の練習と体質の関連

 

小周天の練習でも同じことがいえます。

 

様々な体質の方がいらっしゃるのに、全く同じ方法ではうまく行くかどうかは運しだいになってしまいます。健康な方が小周天の練習をはじめるのなら、例え何か変な症状が現われてきたとしても、練習を休めば体調はもとにもどるでしょう。

 

しかし病気治療のために小周天の練習をはじめようとする方の場合は、すでに病気の症状が出ている状態なので、体質は八綱弁証でいうどちらかの方向に傾いてしまっているわけですから、その体質の傾きを治すために小周天をしているはずがその傾きをさらに大きくする可能性もあるわけです。

 

もちろんこの場合も練習を休むことで、小周天の練習による体調の悪化は避けられますが、病気の治療のための練習ですので健康の方の場合と違い、体調の傾きはそのままになってしまいます。

 

そのため古代の中国では修行をする人が、その体質の傾きを把握するために中国医学が発達したと言われています。

 

仙道でも弟子が修行をする上で効率的に修行に専念できるように、八綱弁証などの診断法から身体の傾きを認識したうえで、漢方薬の生薬がそれぞれもつ特徴を併せることで体調を整えて修行をスムーズにすすませていったといいます。

 

例えば先ほどの表寒虚の体質の方なら、表が何らかの原因でエネルギー不足になって虚してしまい冷えている状態ですから、その原因を気血津液の状態や五臓の状態から把握していきます。そうして原因を探っていった結果、原因が裏の臓の機能低下から来ていたとしましょう。

 

裏の臓の機能低下が、表でのエネルギー不足の原因だったとわかったら更に生活背景や心理状態なども考察して、裏の臓の働きが低下している原因を生活習慣の乱れなどからも更に深く探っていきます。

 

そうして様々な方向から探っていくことで、表寒虚の原因が裏の臓の機能低下であり、それを生じている原因が生活習慣の乱れであると突き止めることが出来てはじめて詳細な体質の把握が可能になります。

 

それにより漢方薬や食事療法を適切にアドバイスすることができるようになります。またご本人にも裏の臓の機能を高まるような生活習慣に変えてもらうことで、体質の傾きを矯正していきます。

 

もしそこまで詳細に体質の把握が出来ていないと、いくら表が冷えているからと言って表だけを温める漢方薬や食事療法をしたとしても、原因が裏の臓にあるわけですので、いつまでたっても体調は戻りませんし、却って表を温めすぎることによる弊害から別の症状に移ってしまうこともあります。

 

偏差の実際

 

仙道などの気の修行法では、偏差(へんさ)という一種の好転反応のような症状が出る場合があると言われています。

 

その偏差には色々な症状があるようなのですが、結局はその方その方の体質によって出る症状は変わってくるものと思います。例えば中医学には奔豚気病という一種のヒステリーのような症状に関する記述があります。

 

奔豚気病の症状は、下から何かが突き上げてくるような感じがして、症状が重い場合はそのまま倒れこんでしまう場合もあります。この症状は偏差で訴える方の症状に良く似ています。実際に私が遭遇した何人かの偏差の方もこのような訴えでした。

 

この奔豚気病にしても人によって出ている症状は似ていますが、治療方法はその方の体質によって変わってきます。

 

ほとんどの場合はストレスが原因で神経質であることが多いのですが、さらに身体の内部全体が乾いている場合と、表層の心(しん)の臓の部位は乾いているが裏のほうの臓は湿(水)が多い場合とでは、当然漢方薬は変わってきますし生活改善も違ってきます。

 

ヒステリーと奔豚気病

 

大きく見た、東洋医学からみる奔豚気病の原因は腎気の乱れにあります。

 

本来は体の芯部に留まって、体全体の熱源となる腎陽が、バランスを崩すことで頭に向かって突き上がっている状態で、良くあるのは潤いの減少によるものや、お腹に停滞した水分による、流れの滞りがあります。

 

以下に、奔豚気病に対する漢方薬をご紹介いたします。

 

奔豚気病(ヒステリー)に使われる漢方薬

苓桂朮甘湯

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腎陽の冷えによって、腎気が浮き上がってしまった状態に、余分な水分が引きつられて下に降りづらくなっている状態を解消する。顔が赤い、のぼせる、動悸、頭痛などの症状に。

不安感がある、立ちくらみ、めまい、ふらつく、のぼせる、頭痛、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症、神経過敏、尿量が少ない、低血圧気味、お腹に水が停滞して痞えた感じがするなどの方に。

 

連珠飲

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腎陽を応援して、浮き上がった腎気を引き降ろしつつ、余分な水を排除しながら、血液や潤いの材料を補充して、血液の巡りも応援する。

貧血、更年期障害、めまい、ほてり、のぼせ、冷え症、疲労倦怠感、頭痛、不眠、どうき、むくみ、息切れ、立ちくらみ、肩こり、腰痛、便秘、耳鳴りなどの方に。

 

桂枝加竜骨牡蛎湯

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桂枝湯で陰陽を調整して気血の巡りを整えながら、竜骨、牡蛎で浮き上がった熱を引き降ろして、心を穏やかに鎮静させる。

疲れやすい、神経過敏、興奮しやすい、神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症、めまい、抜け毛、汗がダラダラと止まりにくいような方に。

 

 

以上に記述したように、しっかりと八綱弁証などで見極めた上で治療、改善しつつ小周天の練習をすることが、偏差や体質による体調悪化を避けつつ健康回復や健康増進への近道であると感じます。

 

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